第3章 雨音
「はぁ....」
静かな図書館にため息が響く
大きな部屋の為、視界に入る位置に人は見えなかった
彼女の側には大量の返却本の山があった
この委員会は私しか役員は居ないのかと思う程他の人達はここには来ていなかった
夜間学校という事もあって、やはり一筋縄ではいかないものなのだろうか
ルカがせっせと本を片付けていると....
『すまない』
突然声をかけられ振り返る
全く気配を感じなかったので驚いた
「!」
そこにはこれもまた目を疑う程整った顔の男子生徒がいた
とても大人っぽくて上級生だということはひと目でわかった
「ここの係の者か?」
「はい」
「一週間程前、ここに誤って私物の本を返却してしまったのだが....」
「あっ!」
私はその言葉に反応する
確か....
「もしかして....」
私は早速、忘れ物の棚へ行き1冊の本を取り出す
「これですか?」
私は彼に本を差し出す
その本を見て彼はほっとしたような顔をする
「あぁ。これだ」
彼は裏を見て確認する
彼の様子と扱いで分かる
この本は彼にとって特別な物なのだろう
見つけて良かったと心から思った
「手を煩わせたな。助かった」
彼は口角を少し上げ、微笑む
すると、彼はそこにある本の山に目をやる
まだ本は半分以上残っていた
「これを棚に戻すのか?」
彼は一番上の本を持って題名を確認して棚に入れる
「え、いいですよ!」
テキパキと本を戻していく彼に私は申し訳なさを感じる
「これは礼だ。それに、2人でしたほうが効率もいいだろう」
「!」
彼の言葉に何も言えなくなり私はお願いすることにした
この間、少したわいもない話をした
彼の名前は『無神ルキ』
初めは"無神"と聞いて驚いた、やはりコウくんとは兄弟だそうだ
それ以外にもまだ2人居て、4人兄弟らしい
コウくんに兄弟がいたのは初めて知った
それと同時に少し納得した
ルキさんとコウくんは、何だか雰囲気が似ている気がした
人間離れした顔に、普通の人は持っていない何かを彼等は持ってる
言葉では上手く言い表せないけれど....
そして私の頭に、1人の顔が浮かぶ
そう....あの人もーーーーーー