第2章 眠り王子
さっきのは一体なんだったのだろうか....
ルカは教室に行き、授業が始まってもなお先ほどの事が頭から離れなかった
蒼い瞳と聞き慣れない低い男の人の声....
頭の中は彼の姿でいっぱいになる
彼には何か惹き付ける物があるような気がした
私はどうしてしまったのだろう....
学年も名前も知らないのに....
彼女はもう既にあの"眠り王子"に取り付かれてしまっているのかもしれない
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「ふあぁ....ねむ....」
その主犯である彼は保健室を出て、屋上に寝そべっていた
好みの音楽を流し、誰もいない場所で静かに眠りに落ちる
しかし、今日は少し違った
ふと、先程保健室に居た女を思い出す
昨日、俺は帰るのも面倒になり途中の階段で仮眠をとっていた
しかし、気づけば仮眠どころでは無く何時間も熟睡しきっていた
そんな時、無駄に痛い視線を感じて目を開けた
すると案の定前には人間の女が居て
そいつは驚いた様な顔をした
別にどこにでも居そうな女で、特に色気があるとか血がうまそうとかも思わなかった
けど、こいつは少し変わってる気がした
人間らしくない....
そんな事を思ってるとその女は颯爽と階段を降りてった
ただ通りすがりで会ったに過ぎないけど、今日もまたあの女は俺の前に現れた
妙に気になるこの女に俺は血を吸えば全て解決すると思って、いつものように喉を潤そうとした
けど....あいつの細った首は牙を立てれば折れそうなくらい非力だった
(はっ....いまさら、人間を壊すことに躊躇するなんてな)
ふと、彼の頭の中では昔の記憶がフラッシュバックする
明らかに先程とは違った様子で彼は何かに苦しむ
「ッ....」
そして彼は自分の首を締めるように喉を抑えた
「エドガー....」