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可愛いポケモンに囲まれて

第7章 ハギ老人とムロタウン


「だから、あの人がどれだけ立ちふさがろうと知ったことじゃない。あの人がなんて言おうと、私は絶対にあの人の言うことなんて聞かない。私は………私の思うとおりに生きる。ってか、逃げきる!!!!!!」

目の前のあの人の姿が揺らぎ、ホムラの姿が現れた。……お前に今まで恐怖していたとは。数分前の私を殴りたいわ。

「……自力で……俺の術は完璧だったはずだ!」

本当にショックのようだった。だがしったことではないね!

「ふんっ!確かにあれはクソ親父だったよ!思い出すもおぞましい一昔前のね!でもやっぱりあれはクソ親父じゃなかったってことだよ。クソ親父じゃなくて、あんただった。クソ親父は雑魚なんて言葉使わない。あの人は私を馬鹿だのだらしないだの言うけど、私を否定する言葉を使ったことなんてないんだよ。腹立つことにね!!」

1回でも言われれば恨むことだって出来たものを。それさえもさせてくれないんだ。あのクソ親父は。

「自分の決めたことに関して馬鹿正直に真っ直ぐで、誰よりも自分に一番厳しくて、そんでもって一番強い私のクソ親父だよ。私の世界一大嫌いな奴だ!!ズズ!!」

私の叫び声と共にズズが上に向かって泥を吐いた。それと共にビシッと何かが裂ける音がし、上からは石が落ちてきて私とホムラの間を塞いだ。

「なっ!? さっきのけむりだまは……」

そうこれを仕掛けるための時間稼ぎとめくらまし。

「じゃあ、俺のマグカルゴが指示を無視したのは何故だ!!!!!!」

ホムラの声は落石の音で消えてしまったが、その場を立ち去る際に私は最後に口を開いた。恐らくもう声は届いていないだろうけど。

「……ポロックだよ。ポケモンにもおやつと呼ばれるものがあってさ。人と同じように、その味や種類によって好みも違うけどね」

「……………………………!!」

微かだが人の声が聞こえる。どうやら聞こえていたようだ。私は笑った。

「なんで分かるのかって……。そのポケモンを見れば大体分かるよ。むしろわかんない方が不思議なんだけど。動きや癖、好みも性格も。相手の内面を知れ、さすれば勝利は開かれる。………私はそう叩き込まれてきた。あのクソ親父からね」

「______!!____!!」

私はそれには答えず、ズズを抱いてその場から立ち去った。クソ親父とは誰のことだって?そんなこと教えてやる義理はないでしょ。
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