第4章 トウカシティと会いたくない人
「あー……朝日が登っちゃった…マミー起きてる時間だよ」
サファイヤがボソッと呟く。私の方はまだ夢の中だと思うが、おばさんが二人の子供がベッドにいないと知れば、いつ母に知られてもおかしくはない。私は彼らを追い抜き、急いでこの街から抜けようとした。
「えー。休んでいこうよ」
「そうしたら? 私は行く」
ルビーを放ってスタスタと歩く私ははっと、ある気配に気づいた。
「ど、どうしたの? エメ……むぐ!!」
私は後ろから追いかけてきた二人を慌てて茂みの中に引き入れた。そして、1番うるさいルビーの口を塞ぐ。
「_____そうか。子供たちがいないのか……心当たりがあるところは全て探したんだな」
街一番の建物から出てきたのは顔も見たくないおっさん。おっさんは電話を片手に辺りを見渡した。
「_____ここには来てないのか、あるいは通り過ぎたのか。朝早いから誰も外に出ておらんからまだ知りようがないがな。こちらでも探しておこう。サファイヤとルビーだな。幼い頃会ったきりだから………すまん。電話が入った。二人のことは気に止めておこう」
どうやら今日のおばさんは早起きのようだ。流石母親。いつもと違う雰囲気を感じ取ったのだろう。あいつに知られたとなれば早くここを立ち去る必要があるな。私は目をキラキラさせるサファイヤを引っ張って、その場を立ち去ろうとした。しかし、
「____なに? エメラルドが?」
ピタッ。私の動きは止まった。嫌な予感がする。まさか……速すぎやしないか?だってまだ夜が明けて数分もたってないんだよ??
「_____そうか。あの……馬鹿娘め」
バキッと音がし、ルビーの顔が引きつった。どうせまた電話機を握力で握りつぶしたのだろう。これで何度目だ!!だから、安いものしか買ってもらえないんだよ。私は2人に合図をしゆっくりその場を離れようとした。
「………先程から怪しい視線を感じるな…」
ゾクッとした悪寒を感じた。この感じはあれだ。昔しごかれた時に感じたあの………。そう思い出したとき、私はばっと2人を地面に押し付けた。その途端大きな衝撃音とともに、私たちの真横の木やら草やらが一掃され、地面がむき出しになった。
「………フッ。気のせいか。もしあいつがいたならすぐにこの街から離れようとするはずだからな」
そう言い残し、あいつはその場を去った。