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可愛いポケモンに囲まれて

第3章 家出決行


「あ、エメも図鑑貰ったの? そっかその手があったか。うん。最近ね、そういうのが増えてて困ってるの。父さん曰く、誰かが持ち込んでるとかなんとか…」

ふーん。別段興味無さそうに私は頷き、そして彼女を連れてハズレの村に戻った。あの人は何故かしょんぼりとして、座り込んでいた。

「……あぁ、通っていいよ。あの足跡ね、自分の足跡だったんだ……」

………………。私はルビーと顔を見合わせ、何も言わずそこを通り過ぎた。無駄な時間だったな。

「でも、夜遅いのに結構トレーナー多いね」

「夜にしか現れないポケモンも多いからね。人が多いぶん明かりも多くて助かるけどさぁ」

サファイヤが何を言いたいのか分かった。こんな時でなかったら彼女は喜んでそれを受け入れるだろう。しかし、今は早めに村から離れなければならないため、それは都合が悪いのだ。

「おっ! ポケモントレーナーか! いざ、尋常に勝負!!」

「よし、いけ! ルビー!!」

私はルビーの背中を押して、その場を離れようとした。しかし、彼は普段の行動からは想像もできないほど俊敏に私の服を掴んだ。

「そんなポケモンを出す時みたいに言わないでよ!!!!!!!!」

「ちっ」

「あーもう! 仕方が無いな!! 勝負を申し込まれたら断らないのがトレーナーの基本常識だもんね!! その勝負私が受けた!!」

兄とは違い頼もしい妹の幼馴染みが、尋常でない強さでバンバン相手をなぎ払ってくれたが、結局次の街にたどり着いたときには朝日は登っていたのだった。
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