第19章 J'ai de la fièvre. 仏
「いや、計りなさいよ」
「嫌だ、」
「ちょ、こら!!」
掛けていた布団を頭まですっぽりかぶって対抗する。
剥がそうと布団を引っ張るけれどギルちゃんたちと喧嘩してるだけあって力が強い。
「計りなさい」
「いーやーだー」
布団の隙間から長いローナの脚が出たと思ったら、俺の腹にゴスッとひと蹴り。
力が緩んだ瞬間、ベッドから飛び降りて教室の角に移動した。
「ハッ、雑魚」
「こんの野郎…」
「バーカバーカ」
馬鹿なのは君だよね、角に移動したら逃げれないじゃない。
でも最強ぶってるローナが面白くて、言うのは我慢した。
「ほら来いよ?体温計ケツにぶっ刺してやる…ってうわ来んな!!」
「残念、角に逃げた時からローナちゃんの負けは確定してる。こっち来なさい」
「嫌だ、やめ、はーなーせー!!ッへぶしっ!!」
来いよとか来んなとかわがままなローナをもう一回担いでベッドに戻る。
それでも駄々をこねる彼女の手入れされていないトゲトゲしい髪を撫でてやると、途端に落ち着いた様子を見せた。
その隙に鉄製のボールに氷水を入れ、手ぬぐいを冷やしておく。
それと…氷枕、それから…と素早く行動しながらもローナから目を離さずに看病をこなす。
こんなに真面目なフランシス、料理する時以外に今までに見たことあるだろうか。
もはや絶滅危惧種に値するだろう。
ここが某本丸なら誉をあげたいくらいです、とドアの隙間からネタ帳にペンを走らせつつのぞき見ていた本田は涙を流しながらその美味しい光景に「ん゛んっっ」と静かに悶えていた。
その後ろでエリザベータは隠す気もなく壁に頭を叩きつけていた。
途中暇潰しのために校内をうろついていたギルベルトは蔑んだ目でその様子を見て早足で通りすぎたという。