第18章 献身的な愛 南伊
「…っ、なんだよコノヤロー」
恥ずかしそうに睨みをきかせながら後ろを向く姿に、少し可愛いなんて思ってしまう。
「いーや、別に。俺なんか買ってきてやるよ。」
「はぁ?!いいっつーの!!」
「いいから黙って奢られてろ、なにがいい?」
「…パスタ」
「コンビニ行けってか…わかった」
その照れ顔に免じて、奮発してやったら伸び過ぎだの具がすくねぇだのゴチャゴチャ言われたので殴ってやった。
その日から、俺とロヴィーノは良くつるむ様になった。
放課後にゲーセン行ったり、ロヴィーノ行き着けのカフェに度々連れてかれてそこのマスターとも仲良くなったり、普段俺が行かないような所に連れてってくれたり、彼との時間は時が進むことを恨むくらい、かなり楽しかった。
初対面があれだったからか、彼の幸せそうな笑顔を見る度にホッとする。
あんな事をするくらいだからいろいろ悩みを抱えてるのだろう。
今はどうしたのかなんて聞けないけど、いつか今よりも信頼しあえる仲になったら、話を聞こう。
そう思ってた。
────────
「はぁっ…はぁ…!!」
珍しくロヴィーノが欠席で、特に用事もなく下校していた途中、突然ロヴィーノから電話がかかってきた。
暫く話していたがどうにも様子がおかしくて、それに疑問を抱き恐る恐る聞いた直後、今まで歩いてきた道に踵を返して走った。
普段は電話なんか掛けてこないアイツから掛けてくるなんて、嬉しくて嬉しくて。
それなのに、なんだよこれ。
お前はこんな弱音言えるヤツじゃないだろ?どういう風の吹き回しだよ。
ふざけんなよ…。強がりのくせに。
走ってる途中、電話と走るのに夢中になってこちらに向かってくる男子高校生と肩がぶつかった。
その拍子にスマホが手から滑り落ちて、嫌な音がした。
「って…!!どこ見て…あ?ローナ?」
ぶつかった相手が運がいいのか悪いのか、ギルベルトだった。
どうやら1人ではなく悪友と下校中らしい。
「っ…は…ギ、ル…」
「あら、ローナちゃん…どうしたの?そんなに走って」
「どないしたん?あれ、ロヴィーノは?」
「え…アントーニョ…?」