第18章 献身的な愛 南伊
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「…はい、終わり」
包帯を固定し終わる頃になってもロヴィーノは相変わらず俺にビビっていた。
俺が触れる度に何度も怖がり、震えて、なんだか悪いことしてる気がして滅入る。
「…グラッツェ」
「ん、」
用件も終わり、片付けをしていると隣から目線を感じた。
さっきまでは小型犬みたいにビビってた癖にな。
「……何してたのか聞かねぇのかよ」
「あ?」
ロヴィーノの問いが理解できかねて、思わずしかめっ面で振り向くとやっぱりビビって口を閉ざした。
「何?」
「……あの時、何してたのか、何であんなことしたのか聞かねぇのですか…」
「…聞いたら答えんのかよ、自傷行為してましたって」
「っ……」
「答えねぇだろ、答えの返ってこない質問はしねぇ。 それから、人のプライベートには口突っ込まないのが紳士だからな」
「お前……」
──ピロピロピロ
ロヴィーノの声は着信音であっさり遮られた。
その着信音の正体は俺の尻ポケットの端末。
「チッ、うっせえな……hello」
『Guten Tag.俺様だぜ!!っちょ、あああああ俺様のサンドイッチ!!てめっ!!』
『まだ残ってんじゃんよー、ん?あぁローナちゃんBonjour♡』
キーンとマイクが音量を拾いきれてないノイズが耳に響く。
通話相手はよくつるんでるギルベルトとフランシス。
「…何の用だよ」
『んぁ?さっきLINE飛ばしたのに無視しやがっただろ?だから電話してやったんだよ!!』
「チッお前かよ死ね」
『何で!?』
『んもー、ギルちゃん知らないの?しつこい男は嫌われんの』
『うぇあ!?マジかよ!!』
『ったくもー!これだから童貞は…』
『アァンだゴr』
どうやら無意味な通話らしいので通話終了をタップして電源を切る。
きっと昼飯の誘いらへんだろうからいいか。
「さてと、そろそろ俺かえr」
グルルル…
隣から地響きのような腹の音。
鳴らした本人は「ちぎ!?」と自分でもビビって赤面していた。