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【ヘタリア】Jasper Green【短編集】

第18章 献身的な愛 南伊


「っ…!?誰だよコノヤロー!!」

「…チッ」


誰だよこんな時にLINE飛ばしたの、ドーヴァーに沈めてやろうか。


カラン、あちらさんがカッターを落としたらしい。

その隙にカッターを蹴り飛ばしてやる。
可哀想にクルクル回りながら屋上の端っこにいってしまった。


「なっ…」


カッターを追いかけたそいつの面を確認すると、どっかで見たことあるような感じがする。

茶髪と特徴的なアホ毛。中性的な顔立ち。



「……あぁ、フェリシアーノの兄貴か」



すぐさま右腕を掴むと、顔を歪ませた。

あぁ?こっちは痛くねぇはずだろうよ。

腕の内側を見る。なんだ?普通左にやるんじゃなかったのか。反対と同じようなのが付いてた。


「ちぎっ、離せ…離せ!!離せよ!!」

「なんだ?いてぇのか?自分で付けといて?」

「ゃだっ…離せ……悪かったって…ごめん…離して…っ」

「あん?」


腕掴んだだけでこんな拒絶かよ。

見られたから逃げようとしてんのか?でもそういうのって我慢してんのわかって欲しいからつけてんだろ?

それともほんとにいてぇのか?
にしては右の傷口は治りかかってんぞ。

そんならなんで…


「……悪かったよ」


瞳から溢れている涙を人差し指ですくってやろうとすると、大げさなくらい身体をビクつかせる。


「…お前、名前は?見た感じ2年だろ、年上だろうけど敬語苦手だからタメでいかせてもらうぞ。
俺はローナ・カークランド」

「カークランドって……生徒会かよ…ひっ、す、すいません…」

「…いいから、名前」


どんだけ怖がってんだか、俺の目を見ようともしねえ。


「ろ、ロヴィーノ…ロヴィーノ・ヴァルガス……だ、コノヤロー…」


…暴言か敬語どっちかにしろよ。いいけどさ。

とりあえずヴァルガスっつったから同級生のフェリシアーノの兄ってのはわかった。

にしてもこいつはこんな所でなんつーことしてやがんだ。

いや自殺しようとしてた俺が言うのもあれだけどさ。

しっかし、これはひどい。よくよく見てみると、痣まで出来てんぞ。


「…腕隠せ、失礼」


カッターを回収してから身体を抱き上げると、唖然とするくらいの軽さと細さに声も出なかった。


「えっ…ちょ、何す…」

「手当て」

「っ離せよコノヤロー!!!」



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