第15章 Germany式クリスマス 普
「んぁ?あぁ、ローナ!! フローエ ヴァイナハテン!! 」
「はいはいメリークリスマス。」
ドイツ語を英語で返すとムッスーと不機嫌そうな顔をされた。
だってドイツ語ってなんかゴツいし難しいんだもんよ。しかも俺イギリス人だし。
そんな俺の理由なんてどうでもいいらしく今もなお不機嫌そうな顔でいるクラウツ野郎に呆れて渋々言ってやる。
「…フローエ ヴァイナハテン」
「おう!!けっせせ!!」
独特な笑い方をするコイツ、ギルベルトは今日も今日とて元気だった。
まあ、そんな事はまだどうでもいい。
今気になっているのはギルベルトが持っている袋だ。
隠すように持っているそれは、まるでショッピングした時に貰う紙袋のようだった。にしては少し小さい気がする。
「なあギル、なんだそr」
「ほらよ!!!」
言い終わる前にズイっと袋を渡された。
話聞く気ねぇなコイツ。
なんだこれ。
謎に包まれたそれを凝視していると「まぁ開けてみろって!」と勧められた。
恐る恐る開けてみるとコンパクトな箱が出てきた。
それをまたパカッと開けば、中から赤のクッションに包まれた白と金が目立つ腕時計だった。
「うわっ、高そ」
エレガントで高級そうなこれに思わず声を上げると、ギルベルトは照れくさそうに頬を掻いた。
「お前に良いもん買ってやろうと思って金貯めたのはいいけどよ、何が欲しいのかよくわかんなくて…そんなのになっちまったけど」
そんなの、とかいうあたり恥ずかしがってるのは丸見えだぞ。
彼のそんな言動から、フランシス当たりに「一緒に選んでくれ!!」とでもお願いしたのだろう。
「まあ…フランシスと一緒に選んでみたんだが」
ほらビンゴ
悪友である彼に必死になってのおねだりしている所を想像してみると、なんだか可愛らしく見えてきて吹いてしまった。
「なっ!?なにわらってんだ!!」
「ご、ごめっ…ははっ、だってギルが可愛くて…っく…!!」
「コノヤロ…」
アルビノの象徴である赤い目に負けないくらい耳まで真っ赤にしたギルベルトは、俺にデコピンを食らわせた後「使わねぇとヴルストと一緒に茹でてやるからな!!」という謎の脅しを吐き捨てその場を去ってしまった。