第15章 Germany式クリスマス 普
「あーさびぃ…くそ」
終業式なんてクソだるい。
校長の挨拶はクソ長いしあのクソ眉生徒会長の話も聞きたくないし、ってな理由だけで参加せずに屋上でツム●ムやってるけどなんか文句ある?
12月25日、二学期の最終日である今日は先程も言ったとおり終業式な訳で、この時間帯はみんな体育館に集合している。
だからいつも校庭から聞こえる歓声も、音楽室から聞こえるピアノの音も歌声も無くて、すこし寂しい。
今聞こえるのはスマホからのポップな音楽と風の音。それから俺が鼻をすする音。
「寒っ」
そりゃ真冬にコートもマフラーもせずにいたら寒いに決まってるだろう。
みんなが整列して体育館に移動してる流れにのってそのままここに来た訳だから上着なんてブレザーしか着てないし、わざわざ階段降りて教室行くのもだるい。
低温で悴んだ手をセーターの袖で温めながら空を仰ぐ。
風で流れるフカフカそうな雲。
あー、俺もあの雲みたいに流れるだけの人生が良かった。
「…馬鹿かよ」
甘えだけが募った自分の考えに自傷と自嘲しながらイヤホンを装着した。
鼓膜が破れない程度の音量にして、好きな曲を永遠と流しとく。
時刻は9時半ちょっと。
終業式が終わるのはまだまだ先だと思うから、しばらくは何をしようか。
「暇になっちまった、…ふぁああ」
俺が欠伸をかました、その直後
「フロォオオオエヴァイナハテンッッッ!!!! 」
と巻き舌で言いながらドアを蹴破った銀髪野郎。
ドア…お前はいい奴だったよ。
てか今のでビックリして舌噛んだしねクラウツ。
ちなみに フローエ ヴァイナハテン
はドイツ語でメリークリスマス。