第9章 Ti Amo 南伊
「っ、痛ぁ…あっん、ッ 」
「えっろ、変態」
「そこで喋んっ…な、ん…」
「ここら辺弱いもんな、お前」
深夜以外は男前な彼女。その分夜になるとそこら辺の女よりも可愛くなるんだ。
そんなところも含めて、全部ひっくるめて俺のベッラは世界一可愛いんだぞ覚えとけよコノヤロー。
「ちょ、…やめろって!」
ぴょこぴょこご機嫌に跳ねているアホ毛を掴んでやると「いぎゃあ!!」なんて奇声をあげて今までの出来事が嘘のように大人しくなった。
「……」
「朝から発情すんな」
「……ロヴィ可愛いんだもんよ」
「ばかじゃねーの…早く来いよ」
「辛い」
「うるせえ」
ベッドから出ても腰にまとわりつくローナを引きずりながらリビングへ向かい、朝食を並べる。
いい加減に重いのでさり気なくセクハラをするローナを腰から引き剥がして席につかせる。
「いただきます」
「いただきますー、」
基本イタリア人の朝食はビスケットとエスプレッソやコーヒーなんて質素なものばかり。
それでもこうやって笑顔で食べてくれる事が凄く嬉しくて、今日も簡単なものだが彼女のために愛のこもった料理を振舞った。
「うめえ」
「ふん、」
まあこの様子なので、ホントは嬉しいなんて思っている事は彼女は一切知らないとおもうのだが。
…いや、そんなことないかもしれない。
「…くるんは素直なのな」
彼女の言うとおり、アホ毛の持ち主の発言を否定するように主の帰りを心から待っていた犬の如くブンブンと荒ぶっていた。
「う、うるせー!!これは違うんだからなちくしょーめ!!」
事実を知られて興奮したロヴィーノが自らの弱点であるそこをグワシと掴むと「ちぎいいいいい!!!!」という先ほどの誰かと似たような奇声が部屋に響いた。
「…ばかじゃねーの?」
「う…、うるせー…」
疲れきった彼を見て、ローナが吹っ切れた様にふはっと笑い出す。
被害にあった彼には馬鹿にされてるように思うのだが、愛している彼女が笑っているのだ。もうどうでもいいやと自分も笑ってしまうのがラテンクオリティ。