第9章 Ti Amo 南伊
「………」
「すやぁ……」
とある休日の朝。
先日の夕方、ローナが我が家に押し掛けてきてそこからつまみを作って酒飲んでの繰り返し、そこまでは覚えている。
今現在二人とも…ていうかローナが半裸で寝ているのは…まあ、そういう事だったのだろう。
冷えてはいけないと布団を首元まで掛けてやり自分も二日酔いで重い体を引き摺りシャワーへと向かう。
「?」
鏡を通り過ぎてからあることに気がつき再び鏡の元へ。
鎖骨の少し上と脇腹に一つずつの赤い跡。
お世辞にも上手いとは言えない付け方から分かる不器用さに自然と顔が緩む。
緩んだ顔を引き締めるために被った冷水は予想以上に冷たく、ちぎちぎと少しずつ水の温度を上げていくのであった。
───────
シャワーを浴びた後は朝食の用意。
朝は下手に食べると胃が悲鳴を上げるというデリケートな愛しいベッラの為に胃に優しいものを作ってやる。
自分も二日酔いで体調は優れないから丁度いいかもしれない。
とりあえず簡単なものを作り、寝室で未だに夢を見ている彼女を起こしに行く。
アントーニョと同じくらい低血圧と有名な彼女だがそんなの俺様に任しとけコノヤロー。
「Ciao.愛しのベッラ」
耳元で囁いて、まずは閉じている瞼にキス。それから両頬にキス。
「んー……」
「ん」
それで最後に可愛い唇へのキス。
これでギルベルトよりかはマシな起こし方ができたぞ。
「…………」
「Ciao.飯出来てるぞ」
「んんん」
腕を引っ張られて体制を崩すとギシッとスプリングの音。
女とは思えない力の強さにひ弱なロヴィーノはあっという間に彼女の抱き枕になってしまった。
「ちぎー…飯出来てるって言ってんだぞちくしょーが」
「んん」
「聞いてんのかよカッツォ」
「…ファック」
「英語分かんねぇ」
「…ん、シャンプー…」
「風呂入ったからな…っててて、噛むんじゃねぇ」
首筋に顔を埋めたと思ったら強い力で噛まれたり吸われたりする。
断じて嫌ではないがもう少し力の加減は出来ないのか。