第9章 クロ猫@黒尾鉄朗
見ると、美心は真っ赤な顔で口をパクパクとさせている。
…うん、いつもの金魚顔だな。
「ここんとこバレー漬けで、一緒にいらんなかったのは謝る。
すまん」
「そんなのいいの。私がちゃんとしてれば、」
「バカ。お前の思ってる事は正しい」
俺は美心から手を離し、膝から降りた。
そして、美心の頭に手を乗せた。
ポンポン
たちまち、美心は耳まで真っ赤に染まった。
「クロの手、大きくて心地いいね…」
俺はちゃんと知ってる。
頭撫でられんの好きだもんな、美心は。
「明日は俺はオフだから」
「…デートしてくれる?」
「当たり前」
額に口付ける。
すると、美心は立ち上がって俺に抱きついてきた。
胸に置いた手がジャージを掴みぎゅう…と力が込められる。
その拳は「嬉しい」と言っているように感じられた。