第9章 クロ猫@黒尾鉄朗
「ねぇ、クロ」
「ん?」
「…だいすき!」
顔を上げて、頬を染めて、恍惚とした目でそれを言われちゃたまらない。
おまけに、さっきまで泣いていた訳で……その乾いた涙が色っぽく光っていて……。
…チュ
「俺も」
今日はキスで我慢だ。
「ふふ、嬉しい」
そう微笑み、勢いよく抱きついてくる美心。
そんな彼女にシルバーのリングを渡したら、どんな表情(かお)を見せるのだろう。
楽しみだな。
そんな事を考えながら、俺はまた美心を強く抱きしめた。
「無事元に戻ってよかったな…一時はどうなる事かと…」
「夜久さん、心配しすぎっすよ
ってか、なんでこんなの持ってんだ?研磨」
「…秘密」
「いや、『ネコになる薬』なんて世界中どこ探しても売ってねえって。こえーよ研磨」
fin