第4章 君のぬくもり@影山飛雄
しばらく経つと、影山がペンを置いて伸びをした。どうやら解き終わったらしい。
「美心、終わっ……何してんだ」
「ジャージ。飛雄の」
美心は漫画から顔を上げ、青い襟を掴んでそう答えた。
「見れば分かるわ。なんでそんなの着てんだよ」
「着てないもん。羽織ってんだもん」
「屁理屈か。なんでそんなことしてんだよ。変態かボゲ」
影山は美心の隣に座り、ジャージを奪い取ろうとした。が、美心はそれを嫌がる。読んでいた漫画を置き、取られまいとジャージを引き寄せる。
「…なんだよ」
「だって……ジャージってさ、なんとなく温かいの」
「は?」
意味が分からない。そんな目で美心を見つめた。
「温度とかじゃなくて…ぬくもり?的なのかな。なんか、そういうのが1番感じられるんだよね、学校のジャージって」
「…へぇ」
影山は生返事をする。分からないかな〜、と美心は笑い、影山を見た。
その笑顔に、影山の頬は熱くなる。
「このジャージが、飛雄の代わりみたいなの。これが有れば、どんな時でも飛雄を近くに感じてられる……的な」
「今俺いるじゃん」
「勉強してた」
美心は頬を膨らませ、影山に密着する。