第4章 君のぬくもり@影山飛雄
…こてん
肩に、少しの重みと甘い香り。
「…不意打ちは反則だろ」
「ふふっ、1本取ったりー」
影山は、肩ずんで八つ当たりしてくる美心に、不覚ながらもときめいた。
「…美心」
「ん?」
美心は顔を上げ、問い返す。影山は正座をし、自分の膝をとんとんと叩いた。
乗れ、って事?
美心はそう察し、影山の膝に跨った。すると、いきなり腕が回され、体が密着した。
美心は抱きしめられたのだ。
「…飛雄?」
「…俺さ、勉強できねぇし、バレーばっかだし、お前が望むような事してあげらんねーかもしれねー」
「とびっ、っ」
美心の声を遮るように、影山は桃色の唇にキスを落とした。
「でも、覚えとけ。俺が好きなのはお前だけだ、美心。何かあったら俺に言えよ」
「何かって?」
「…浮気疑惑とか、その他諸々」
ぎゅっ、と腕に力が込められたのが分かった。——本気だ。きっと、高校では今より2人の時間が少なくなる。それで私が寂しくなって、喧嘩しちゃったりとか、そういうのを予想して……。
飛雄のくせに、イケメン。
込められた愛を悟り、美心は嬉しくて悪態をつきつつも受け止めた。
「…私も、飛雄だけが好きだから…」
影山を抱きしめ返し、想いに応える。そんな美心に、影山はたまらず口付けた。
何度も、何度も…。
「っ、とびお、やりすぎ…はぁ」
「なぁ、俺勉強したんだけど」
ちゅ、と音が鳴る。2回、3回と絶えずに啄むようなキスが繰り返される。
「うん、お疲れ、んぅ」
「疲れんのはこれからだからな」
影山はやっと唇を離し、美心の制服に手を掛けた。
「ほら、ご褒美…くれよ」
「っ…バカ、」
——また今日も、君のぬくもりに包まれる。
fin