第20章 甘えたさん@孤爪研磨
「うん…私も、ちょっと寂しかった」
…抑えていた気持ちを吐き出す様に、感情が溢れ出す。
おれは美心をその場に押し倒した。
美心の瞳におれが映った。きっと美心には、おれしか見えていないんだろうな。
それが凄く嬉しくて。もっともっと甘えてほしい、そう思った。
でも。その前に、おれが美心不足だ。
「ねえ、会いたかったよ」
「うん、私も」
君がまた微笑む。おれも自然と笑みがこぼれた。
だから、一度素直になるとあとは簡単なようで、
「美心、好き」
また気持ちが溢れてきて、…でも今度は、抑える必要は無いから。
唇を重ねた。
ふわっと甘いリンゴが香ったような気がした。