第20章 甘えたさん@孤爪研磨
「美心…今日はごめん」
ひとりで溜め込んでしまう君だから。
ちゃんと言わないと、また不安にさせてしまう。
「ん…部活のこと?」
「うん」
おれはまた細い体を強く抱きしめた。
「最近、美心と一緒に居られなかったから」
これじゃ、言葉が足りないかな?
おれだって美心と一緒に居たい、って、言わないと…。
甘えてばかりは、ダメだ。
「大丈夫、って言ってきたのは…嘘、かな」
美心はまたクスリと笑った。
でも、見ていないけど、その笑顔は少し寂しげな気がする。
…不安なんだ。
美心はやっぱり、…。
「おれ、…美心と会えなくて寂しかった」
ささやき声に近かったと思う。でも、きっと聞こえるよね。
さっきよりも、こんなに距離が近くて、それに…今はおれとの物語に集中してるでしょ?
すると、美心の腕がおれに回された。