第3章 課題教科・恋愛@赤司征十郎
「⁉︎赤司くっ…んっ」
「2人きりの時は…?」
ギシ…と揺れる、私達の間の机。絡み合う舌と唾液。
チョコが完全に溶けても、キスは続いたままだ。
「っ、せいじゅうろ…?」
「…可愛いよ、美心…」
やっと唇が解放されたかと思うと、赤司くんはそんな事を言ってきた。何それ、そうやって笑うあなたの方が可愛いです。
頬を優しくなぞる手がくすぐったい。帯びた熱は引かず、むしろ赤みが増しているようだ。
「勉強、頑張ったご褒美だよ」
「もう…何の教科よ」
彼は筆記用具を片付け、少し考えてから言った。
「うーん、恋愛かな?」
「ぷっ、あははは」
恋愛か…そういえば、赤司くんに出逢うまでほぼ恋なんてしたこと無かったなぁ。
…そもそも、何で赤司くんと付き合う事になったんだっけ?
「ねぇあか…征くん、何で私達…その、付き合い始めたんだっけ…?」
「照れなくてもいいのに」
またクスって笑われた。ひどいよ赤司くん…可愛いんだけど。
「美心は覚えてないのかい?」
「うん…ガチで。ごめん」
私も筆記用具を仕舞う。必死に思い出そうとしたが、やっぱりダメだった。お気に入りのシャーペンを最後に入れ、ファスナーを閉める。
「…その……ん……」
「ん?なんか言った?」
ちっちゃくて聞こえなかった…。いや、独り言だったのかな?
「…いや、何でもないよ。
そうだ、ココアでも持ってくるよ。場所は分かるから」
「?うん、お願い」
腑に落ちないけれど、気にしない事にして私は彼にココアを頼み……
「ふぅ……」
机に突っ伏し、そのまま寝てしまった。