第3章 課題教科・恋愛@赤司征十郎
「——そうそう、正解だよ」
「はぁ、やっと出来た!赤司くん、やっぱり教えるの上手いね〜」
シャーペンを投げ出し、大きく伸びをした。赤司くんはワークに赤い丸を付け、苦笑する。
「そうかい?でも、美心の吞み込みが早いから、教えるのが楽だったよ」
「ふふ、赤司くんと同じ高校に行く為だもん」
そう言うと、彼は思い出した様な顔をし、こう言った。
「美心……2人きりの時くらい、いいだろう?」
「うっ…それは…」
咄嗟に目を逸らす。
付き合い始めた時から、赤司くんには名前で呼ばれている。でも、私は名前で呼ぶなんて恥ずかしくて、相変わらず苗字のままだ。
2人きりならまだマシなんだけど…、でも……。
「…ねえ美心、これを見て」
「……?チョコ?」
赤司くんが手に持っているのは、小さなチョコ。
これが、どうしたんだろう。
「そう。…ほら、名前呼んで?」
そう言うなり、チョコは彼の口の中に消えていった。この挑戦的な笑み……これは言うまで何もしない気だな。
言うしかないのか…。
頑張れ私。羞恥心に勝つんだ!
「…せい、くん…」
「…まあ合格、かな」
——視界いっぱいに赤司くんの顔。
口の中は、とろけるような甘い味。
舌が触れ合った時、私は征くんにキスされているんだと分かった。