第1章 出会い
私を頼んだって………
そのときはまだ
友人家族と一緒に住むものだとばかり思っていた。
事実を知ったのはその日から2週間後。
「あれ、言ってなかった?」
おとぼけたような母の声。
「友人の息子さんと住むのよ。」
この時、母のあの顔を思い出した。
あの何か企んだ顔を。
そんなの聞いてない。と追及したが
聞く耳もたず
それどころか
それなら行くところないわよ、と脅してきた。
父にも娘を見ず知らずの男と暮らせていいの?!と訴えたが
いい経験だ、と意味不明な返答をしてきた。
おそらく……
私をおいて二人で暮らすことを優先していると思う、この夫婦。
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