第5章 あの日から
わたしの中で、あまり心地よくない夢がある。
あの子が出てくる夢。
出てきてくれた時は凄く嬉しい。
『今』のステージに彼も一緒に立っていて。
けど、次の瞬間、自分の足元が崩れる。
もがいたって落下は止まらなくて。
落ちる途中、暗闇の中に、卑しく笑う顔や、冷たい視線を感じる。
ようやく地に足がついたと思っても、周りは暗闇のまま。
ふと隣を見ると、あの子も立っている。
けど、悲しそうに、わたしに笑いかけてくるあの子は、そのままわたしとは違う道を歩き始める。
(そっちに、行かないで)
そう思ってもあの子の足が止まることはない。
(そっちの道に、わたしは、わたしたちはいない。行けないの、だから、)
戻ってきて
何度、そう思ったことか。
最初は良かったのに、と。
「博貴……」
もう泣きはしない。
この夢を見るようになった時は、自分の無力さを突きつけられているようで何度も何度も泣いた。
でも、今は泣かない。
博貴は死んだわけでもないし
ましてや会えないわけでもない。
彼は、わたしたちと道が分かれたとはいえ、
彼は彼の土俵で生きている。
頑張ってる。
この夢は楽屋で寝てる時も見た事があった。
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横「あ、ちょっと見てあれ」
錦「ん?」
安「わ、写真撮らな」
その時、わたしとたっちょんがお互いに寄りかかって寝ていたらしく、章ちゃんが写真を撮ろうと寄ってきたらしい。
安「あれ?」
渋「どうした」
安「霄、泣いてる」
村「怖い夢でも見とんのやろか」
どうしたどうしたとメンバーが集まる。
その時はたっちょんが先に起きたらしい。
大「ん…ん??どうし____おぁ、霄……って泣いてんのん?」
渋「大倉に寄っかかってるからとちゃうん?夢見心地悪いんとちゃうか」
大「どういうことw」
「……わっ、びっくりした…」
それで、あの夢を見て、いつもの夢の終を見て、わたしは起きた。