第3章 正夢リヴァイバル
あのビジョンとは少し違う……
静かに涙が流れてる
指の隙間から溢れた涙が全部、制服に落ちていく
「雪乃……」
「違う…………悪くないの。カルマは……悪くないの」
拭うために伸ばした手を途中で止める
……なんで躊躇った?
頼まれたのに、なんで……
こいつの頼み事が、違う気がして
その考えは当たっていて、お願いは違うことだった
「お願い…………嫌いって、言って。私を……許さないで」
!
許さないで……って
許してほしくないから、泣いたわけ?
「許さないで…………私は、まだ……このままがいい。許されたら……私…………」
貴方を嫌いになれない
「私は…………まだ、怖いの。あんなの、見たくない」
「…………あんなの……?」
「……怖いの、私……カルマが怖いの」
「は……」
「人の……カルマのなかに、踏み込むの……踏み込んで、傷付けて、疎遠になるのが…………居なくなっちゃうの……怖い」
……中学より前のこいつは知らない
断片的にたまに話された内容にも、この恐怖心の元凶は……話されてない
いいや、この際そんな元凶はどうでもいい
「………………」
ここで、踏み止まったら……?
嫌いって、言ってあげたら……?
明日にでも、渚くんが奪うかもしれないのに……?
「……雪乃、止めてあげるから、手、退けて」
「うん……」
ゲームなんてどうでもいい
俺が壊すまでは、誰にも渡さない
壊しかけてきたのに、ここで、手放す……?
冗談やめろよ
せめて、俺の前でくらい……自分になれるように
休憩ができるように、前の笑顔が消えないようにしてきたんだから
涙を拭ってやり、挟んだ机に身を乗り出して距離を詰め
その唇に自分のを重ねた