第3章 正夢リヴァイバル
俺たちが立ち寄った場所は人通りは良好な通りにある喫茶店
そのなかに入り、やっと間宮の緊張が解れたようだった
「あの…………」
「ん?」
珍しく寡黙だった彼女が俺に右手を差し出す
その上には先ほど落とされた携帯
「ごめんね、傷付けちゃって。壊れてないと良いけど」
その右手には痛々しい赤い痣が残っているというのに、俺の携帯の心配か
……気遣いなんて、そんなことしなくていいのに
本当は泣きたいくらい怖かったくせに
まだ虚勢を張るのか、こいつは
そんなことを受け取りながら考え、少しイライラ
けれど、それは次の彼女の言葉で消される
「あのね、私……途中から泣きたかった。だけど、カルマなら大丈夫って、勝手に思い込んでたの。だからね」
カルマ……ありがとう
「!」
にっこりと、それはいつもの人への笑顔じゃなくて
恐怖心から解放され、本当に落ち着きを取り戻した笑顔
感謝を伝えるための、彼女の笑顔
「アドレス、教えといてくれてありがとう。赤羽 業って名前で、ありがとう。助けに来てくれて、ありがとう。抱き締めてくれて、ありがとう。たくさん、ありがとう」
なんだか幼いような口調の言い回し
それが本来の口調なのかわからないけれど、その表情はきっと偽りじゃない
その、ありがとうは、嘘じゃない
そう思った
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