第2章 持続性スリープ
鞄を取りに戻った間宮さんを待っている間、気まずい以外のなんでもないカルマ君と二人だった
たぶん、等の本人はそんなの全然気にしてないんだと思うけど
「………………」
間宮さんは特定の人物に対する口の悪さを覗けば神崎さんくらいに匹敵する
性格とか、対応とか
誰かが傷付かないことを率先してる
だからこそ、尊い
僕はそんな彼女がさっきカルマ君じゃなくて僕を選んでくれたことが嬉しかった
ううん、カルマ君が彼女は嫌いだから僕を選ぶのは当たり前だったかもしれない
同じようにカルマ君も間宮さんを嫌ってるのならなおさらだ
けど……
「……カルマ君、僕は間宮さんが好きだよ」
”それだけ”じゃ、カルマ君には勝てない
「…………ふぅん、まぁ、黙ってれば可愛いもんね。あいつは」
一瞬驚いたようだけど、賛同するかのように笑った
……違うよ、カルマ君
そこは焦るところだ
「だから、カルマ君がもし……間宮さんを泣かしたりしたら、僕は許さない」
「………………それは雪乃が渚くんのものになってからの話だよ」
「でもカルマ君のものでもない」
「そうだね、雪乃は自分から俺のものなんかにならないよ。大嫌いだからね」
でも……と、わずかに目付きが変わる
「雪乃が俺を許したら……わかんないよ?相性的には良いし」
たぶん、冗談だ
僕をからかうための
なのに……なんでだろう
それが現実になりそうな気がする
「取るなら早く取り上げる方がいいよ。俺も……衝動には負けるからさ」
「衝動?」
「ふふ、こんな衝動知らない方がいいと思うけど…………」
俺は雪乃を自分で泣かせたいんだよ
「!」
「ぐしゃぐしゃに……壊してみたい。つまり、渚くんと俺の願望は真逆ってこと」
これは……難儀だ
「渚くんには賛同するよ。あいつは可愛いし賢い。変なとこ抜けてるけど……それが美点かもよ」
瞳が動く
校舎から出てきた間宮さんを見ながら続ける
「けど、美点だけ見付けれてもあいつは救えない。間宮 雪乃はまだ…………」
夢から覚めてない