第8章 期待値アンサー
世界は不平等だ
でも公平な勝負のために神様はそれぞれに才能をお与えになる
森のなかを歩きながら
そう思う
例えるならば
最強などないこと
どんな人にも弱点があるということ
その人たちそれぞれが名一杯の才能を共有したならば
それは最強のチームになるかもしれない
ただ、個々の力単品では最強にならない
たとえ、相手のチームにすごい人たちが集まっていても……
それに勝れるものは仲間の力だ
ガサ……
目の前に見えた赤い旗
ここまで到着するのに敵には何人もすれ違った
でも私は無傷
だからといって敵の誰かを倒してなどいない
「……おかしいねぇ……雪乃は敵だって言ったんだけど」
その声に
私は観念したように振り返った