第6章 心理的ザ リーズン
次の日、久しぶりに朝の電車に揺られる
目を閉じたまま時間が流れるのを待つと、目の前に人の気配
「…………おはよう……カルマ」
「おはよう。体調戻んないなら、休めばよかったのに」
微笑む私の額に触れて言う
今日はいつもより一本遅い……ゆっくり歩いてたらいつもの一本目は行ってしまったから
「座る?」
「んー、いい。そんな長くないし、雪乃座ってなよ」
「そう。この時間のだと、貴方が乗ってるのね」
「嫌だった?」
「ううん、はじめて知った。それだけ」
「へぇ……俺は雪乃っぽい人見たから他の車両から探しに来た」
「見付けれて、よかったね」
「当たり前じゃん。走ってても見付けれる俺だよ?」
冗談じゃない……嘘でもなく本当だな
見付けてくれたお陰で、私は助かった
案外……私たちの関係は互いを理解するにはよかったのかもしれない
「私、も……見付けれるよ。ここじゃ、話せないけど」
つい昨日の、私の目がターゲットしか写さなかったとき
カルマだけ、ボヤけた景色の中で見つけた
「飲み物、買いたいな」
「じゃあ降りたら自販機でも寄ろうかね」
「ついでに奢ってあげましょう」
「マジで?」
「うん、お礼」
「さんきゅ、なら鞄をもってあげよっか」
「ほんと?」
「お礼のお礼」
「ふふ、きりないね」
あぁ、こんな楽しかったっけ
朝を迎えることって
この人に会うことって
暖かいな
暖かい……
会って、喋ると暖かくて……
触れられると、熱い……