第5章 重要性プレイス
「カルマくん、赤羽 カルマくんね。あの子、いい子ね。不良だなんて思えないわ」
「素行不良……といっても、何かしら理由はあるからね。普段はおとなしいよ」
「そうなのね。それで、カルマくんがね、この間の電話で言ってくれたの。私が……雪乃のこと、これからもよろしくねって言ったら……」
『大丈夫ですよ。一人にはしません』
『元気な姿の雪乃が、E組には必要なんです』
『それから、俺にも…………雪乃が必要なんです。絶対、何があっても、一緒にいますよ』
『居場所を、俺にもください』
「!」
「"俺って結構警戒心強いんで、そういうの、助かるんですよ"って。私欲に聞こえるけど、雪乃を見ていてくれる人が居て、本当によかったわ」
……カルマ
の、居場所
私の……中
両手を眺めて、さ迷う
「仲良しさんね。カルマくんが貴方の友達でよかった。私たちより、貴方のことを見て、知っていてくれてる」
「……まだ、終わってないよ」
「……?なんのこと?」
その問いには答えなかった
私とカルマのゲーム
知られたら、終わり
私の最後の"トリガー"を、知られたら……終わり
「カルマくんのこと、好き?嫌い?」
「好きだよ。私の大切な場所なの」
「そ、じゃあ……カルマくんにとっても、雪乃が大切な場所になってあげてね。それがお礼になるから」
「うん」