第5章 重要性プレイス
「意外です……!てっきりほとんどのことできるのかと」
「大袈裟だよ。私は万能じゃないし、水泳は見ても覚えれないんだ」
「体格とかも関係してくるしね。人それぞれ泳ぎが違うから」
それもある
けどまぁ、一番の要因としては水だと"見にくい"というのがそうだろう
平泳ぎとかなら飛沫少ないから見てやれるんだけど……
茅野ちゃんみたいに浮き輪持ってきてればよかったかな
「泳ぎ、教えてあげようか?」
「そういえば、片岡ちゃんは泳ぐの得意だったね」
「まぁね、色々あったから」
「あはは。でもいいよ、完全に泳げない訳じゃないから。ここでばしゃばしゃしてる」
「そう?なら良いんだけど……」
まだ心配そうに見つめてくるので、お得意の笑顔で対処する
さて、片岡ちゃんも戻ってくれたし、ばしゃばしゃしてよっかね
ちゃぷ……
足を浸からしてゆらゆらと揺らす
普通のプールより開放的だから気持ちいい
「ん」
なんだか騒がしい……
そう思って視線を動かすと、悪戯大好きな赤髪がぐわんぐわん先生の指令椅子を揺らしてた
わお、先生って水嫌いなんだ
「きゃん!!」
……実に変な悲鳴もあげる
怪訝に細めて言葉を漏らす
「先生って弱点だらけなのになんで殺れないんだろ……」
やっぱりマッハ20というラインが肝なのか
ひとりでに悩んで、楽しいプールの時間は終わった
……余談だが、中村ちゃんが渚に「あんた、男だったのね」と、言っていたのは今さらの一言だった