第4章 真似っこミステリー
最近、俺にナイフを当てれる生徒が出てきた
前原くんや磯貝くんはもちろん、岡野さん……
赤羽 業に至っては群を抜いている
そして……
「次は間宮さん」
「はいはい先生……よろしくお願いします」
気楽そうに微笑みかけてくる生徒
今から戦闘を始める相手にも関わらず、こっちまでもが気抜けしそうな雰囲気だ
構えもせず、こちらをただ楽しそうに眺めてる
……要注意、だな
こちらが身構えると、ゆらりと黒髪が靡いた
「……!」
「っと」
最初に飛んできたのはナイフ
それを避けるとすかさず地面に手をついて両足が振りかざされる
そしてそのまま後ろにバク転
……?
どこかで見た動きだな
これは……岡野さんの動きか
「……違う…………えーと」
今度はナイフメインの攻撃
前原くんか
ぶつぶつと呟きながら早着替えのように変わっていく動きに防戦一方だ
予測が出来ない
怪奇なほどに
「そこまでだ」
「……ふぅ…………当たりませんねぇ」
また笑顔が浮かぶ
恐怖すら感じるな……このかわりようは
敵だったら……敵と思えなさそうだ
一礼して去っていく後ろ姿を見ながら考えていると、明るい声が背後を掠める
「雪乃にはスタイルが無いんだよ。烏間先生」
「君が教えたのか?」
「んなわけないじゃん。雪乃の才能を潰すようなこと」
赤羽くんは微笑みながら続ける
「雪乃に戦闘の才能なんてないよ。怖いくらいに"真似"ができて"上手い"んだ。そう、怪奇的にね」