第19章 芸能界の王子様
そして週末。
吉井さんの手早い事務処理のおかげで私はべネールプロダクションへと来ていた。
「わぁ…」
綺麗な女優さんたちが出入口から現れるのを見て、思わず歓声を上げる。
つくづく私がいていい世界なのかな…。
吉井「あ、さん。
お待ちしておりました〜。
こちらです」
受付に向かうと、既にスタンバイしていた吉井さんの笑顔が見える。
初めて会うけど…歳の割には綺麗な人だよなぁ…。
30後半と思われる容姿からは、どこか大人の女性を感じさせられた。
「初めまして。
本日はよろしくお願いします」
少し緊張しながらも挨拶をする。
あんだけ話を蹴っといて、今更のこのこやってするというのは、こう…なんだか申し訳ないというか、ぶっちゃけ気まずい。
私の想いとは裏腹に、ショートヘアの髪を爽やかに纏めた彼女は「固くならなくて大丈夫ですよ〜」と微笑むと、私を控え室へと案内した。