第17章 優秀な兄【黛遊馬】
私は…。
私は兄には勝てない。
全てにおいて兄には勝てないんだ。
遊馬「菜々海?どうした?」
菜々海「どうもしないよ。(怜兄のこと考えてたなんて言えない。)」
遊馬「……。」
パチンっ
菜々海「いたっ!なにすんの遊馬!デコピンしないでよ!」
遊馬「どうせ、怜治さんのことでも考えてたんだろ。」
菜々海「うっ…。なん、で…。なんでわかったの?」
遊馬「なんとなく。いつもの顔じゃなくて昔の顔してたから。」
菜々海「ふっ。そうですか。」
遊馬「今日は来てくれるんだろ?部活。」
差し出された手に自分の手を伸ばす。
掴まれた手。
そして、2人で走り出す。
怜治「菜々海…。」
静馬「気になりますか?怜治様。」
怜治「静馬か。気になるよ。いつも俺と比較されて怒られてきたからね。」
私は怜兄が怖いんだ。
小さい頃に遊馬と静馬が家に遊びに来てくれたことがあった。
その頃から私は兄と比較されて怒られて、泣いていた。