【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第5章 2次試験・前編
「口閉じてた方がいいよ、舌噛むと危ないから」
「え、ええ…」
私が口を閉じるのと同時に脚に力を込め、地面を蹴った。
素人とが見れば軽く蹴ったように見える程軽々と動いているが、そうではない。
実際にはかなりの力で蹴っているのが分かる。
凄い…。
凄いとしか言い様がないのだ。
次々と変わる景色。
頬を掠める風、つまり抵抗の強さ。
顔色1つ変えることなく走り抜ける。
敵わない。
ただ純粋にそう思った。
基本の能力でも、戦いでも。
もし争うことになったら確実に負ける。
彼らが本気を出せば圧倒的な力量差で。
「はい、着いたよ」
ほんの少しだけ息を切らせて言うシャルナークさん。
風に当たったあとだから今は汗は少ないが、きっと数刻としない内に吹き出て来るだろう。