【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第27章 困惑
「色気なんてないですよ」
「好きだよ、リア」
「っ…」
“ 好き ” と言った瞬間、リアの瞳が揺らぐ。
動揺。
それはリアから最も遠い存在だと思っていた。
「戻ろっか」
「はい」
ホテルの支払いを終え、街を歩く。
「…なんか凄い見られてるような気がするけど、気のせいじゃないよね?」
身体中に浴びせられる視線の数々。
「シャルの顔立ちが人目をひくんですよ、きっと」
「そうかなぁ?」
俺にはむしろリアに向けられる視線だと思うんだけど。
リアに対する好意と興味の視線。
そして俺に対する嫉妬のような視線。
そんな感じがしてならない。
「気にし過ぎですよ」
「…うん、それはよく言われる」
「あれ、リアちゃん?」
不意に背後から掛けられた、見知った声。
「…ワタル」
振り向けば、翡翠色よ双眼に私が写っていた。