【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第27章 困惑
押し倒した。
……筈だった。
目が覚めると、俺はベッドで横になっていた。
隣にはきちんと着物を身にまとったリアが穏やかな寝息を立てている。
「俺…寝てたっけ…?」
なんて考えるのも無理はない。
ついさっきまでリアを押し倒していた。
それは確かなのに。
「ん…」
寝返りを打ち、こっちに身体を向けた。
「なーんか記憶ないかも…」
気持ち良さそうに眠るリアの髪に指を通す。
「サラサラ…」
癖知らず、痛み知らずな綺麗な髪を梳く。
ほんのりと香る石鹸の香り。
優しくて、繊細で、甘くて、爽やかな石鹸の香り。
「好きだよ…」
チュッ、と髪にキスを落とすとリアの目がゆっくりと開いた。
「シャル…?」
「そうだよ」
ほんの少しだけ掠れているリアの声が、行為をしたことは現実なんだと物語る。