第18章 自覚と無自覚

オーラを右手に集中させ。


「 “ 在庫の出現 ” （アピアランス・ストック）」


そう静かに呟いた。


すると何もなかった筈の右手には、１つの小瓶がしっかりと握られていた。


中の透明な液体はユラユラと揺れている。


「これが本物です」


「ちょっと見せて貰っても良い？」


「どうぞ」


具現化したソレをシャルに渡すと、シャルはソレをマジマジと観察した。


「うん、オーラは出てるね」


「ではそれを落としてみてください」


「そんな勿体ないこと出来ないよ！」


割れちゃうってば、と驚いた顔をする。


「大丈夫ですよ、だって…」


代わりに瓶を落とそうとシャルの手に指先が触れると…。


「あ…」


シャルの手から力が抜け、瓶が滑り落ちた。


「っ…」


割れる、と思ったシャルがとっさに目を瞑るがコトンという妙な音に釣られて視線を戻すと…。