【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第12章 蜘蛛へようこそ
シャルが目を閉じてから数秒後、それは訪れた。
肌に感じるビリビリとした圧迫感。
それと共に急激に上昇する感覚。
そして急降下。
頭がグランと揺れた。
「わっ…」
「っ…」
環境変化に驚くシャルの声と、もう1つの別の声を聞こえた。
シャルの下から驚きと痛みの混じった声が。
「ホントにアジトだ、ここ。
半信半疑だったんだけどなー」
「重いね、シャルナーク。
ささと退くよ」
下敷きになっている彼はシャルにそう声をかけるが、シャルの耳には届いていないようだ。
「シャル、まずフェイの上から降りたらどうだ」
見かねたクロロさんがシャルに言う。
「え?
わっ、ごめん!フェイタン」
慌てて彼の上から降りるシャル。
「たく…帰て来ていきなり災難ね」
フェイタンと呼ばれた彼は服についた埃を手で払うと同時に、少し訛りの残った言葉で言った。
イメージした人の上に落ちるのは偶然じゃなかったか。
改良の余地あり、と。