第2章 風邪っぴきさん
「母さーん、おそ松たちの家今から行ってくるね〜」
「あら、おそ松くん家行くなんて久しぶりじゃない?」
「んー、一ヶ月ぶりかも」
「あ、そうだ。このお菓子持って行って!あとこのフルーツと…あ、松代さんにこれ渡しておいてくれる?…私も松代さんに最近会ってないわねぇ…そろそろお話したいことも盛りだくさんだし、今度連絡取ってみようかしら…」
「…とりあえず、一個の袋に固めといてくれたら持って行くね」
私の母親とおそ松たちの母親は仲が良い。「こっちに引っ越してきたとき、松野さんがいなかったらお母さん鬱になってたわ」が口癖なぐらい、私の母親はおそ松たちの母親である松代さんが大好きである。
化粧をしに部屋を戻ろうと母親に背中を向けたが、ガサガサと袋に詰める音がしたので、チラッと振り向いて母親を見てみると、先程のお菓子とフルーツ、そして多分、昨日の夕飯の大量に余っていた肉じゃが、そして、今日の夕飯なのか、ハンバーグも詰められていた。
母さんは、何故かいつも多めに料理をしてしまう。「最近は冷凍できるから助かるわ〜」なんて言ってるけど、3人家族の私たちには多すぎる。
あの袋、重いんだろうなぁ、と思いながら部屋に戻って化粧をすることした。
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「それじゃ、行ってきまーす」
「はいはい、行ってらっしゃい」
母親に見送られて玄関を出た。もちろん、母さんが詰めた袋は重い。というか、何故か袋は2つになっていた。水も6本も買わなければいけないのに、家を出た時点でこの大荷物。仕方ない、母親は松野家が大好きだから、私が松野家に訪れるとなったらいつも大荷物なのだ。
玄関を出ると、おそ松たちに頼まれた水を買うために松野家とは反対にあるスーパーに向かった。
わざわざ松野家とは真逆にあるスーパーに向かうなんて、私は優しいなぁ、なんて自意識過剰になりながら無事に水を6本買うことができた。
お菓子も買おうかと思っていたけど、母親がお菓子などたんまり袋に詰めていたのでやめた。多分、お菓子なんていくらあっても成人男性6人も居たらすぐ無くなるだろうけども。
「ごめんくださーい!瑠璃ですー!」
松野家にはインターホンがないため、いつも声を掛けている。