• テキストサイズ

烏と猫と梟と。《ハイキュー!!》

第4章 インターハイ予選。



私の姿を目に留めた月島くんはため息を一つ吐いた。

「ただのトイレなのに遅くない?みんな心配してるけど」

『…っ、じょ、女子はイロイロあるの!』

何てデリカシーの無い一言!

私が憤慨していると、月島くんは思い出したように付け加えた。

「気になったんだけどさ、何で、試合にも出てないのに泣いてたワケ?」

一瞬、何を言われたのか解らなかった。

ナンデ、シアイニモデテナイノニ

ナイテタワケ?

そんな無神経な言葉にカチンとしつつ、質問の回答を考えた。

『何でって…みんなが負けたのが悔しかったからでしょ。あれだけ頑張って練習してたのに。それに、最後の速攻だって、全部カンペキだったし』

だから悔しいんだよ、と締め括ると、月島くんは不思議そうな顔をしてまたもや訊いてきた。

「だからさ、何でマネージャーなのに泣いてたの?」

マネージャーなのに…

マネージャー

なのに?

もう、完全にキレた。

『そうですか、ああそうですか。じゃあ言わせてもらいますけどねぇ、貴方の方がよっぽど変ですよ?試合に出て、レギュラーで頑張ってたくせに泣きもしないで…』

一気に捲し立てる私に、月島くんは呆気にとられてた。

そのとき、試合後のみんなの姿を思い出した。茫然と立ち尽くしていて、頭の理解が追い付かなくて。

本当は、スガさんだって出たかったのに。

何で、貴方が出てたのよ…

ベンチ横で俯いていたスガさんの後ろ姿を思い出して、視界がじわりと滲んだ。でも、視線は真っ直ぐ前、月島くんを捉えている。

私はきっと、ひねくれた顔をしている。

嫌いだ。

こんな言い方しか、

こんな考え方しか出来ない、

自分が、嫌いだ。

吐き気がする程、嫌いだ。

この性格のせいで、

同じようなことを繰り返したのに。

仲違いを何度もしたのに。

また、

やってしまった。

せっかく仲良くなれたのに。

そう思っていたのは私だけだとしても、

やっぱり哀しかった。

決して顔を下げまいとしている私の目から一筋の雫が頬を伝った。


       
/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp