• テキストサイズ

烏と猫と梟と。《ハイキュー!!》

第4章 インターハイ予選。



荷物を持ってバスに乗った。バスの中は嗚咽が響いていた。バスが止まったのは居酒屋"おすわり"の前だった。

烏養コーチがご馳走してくれるらしい。そしてテーブルの前に座り、誰からともなく食べ出した。

「走ったり跳んだり、ましてや試合後の筋繊維はブッチブチだ」

烏養コーチが言った。

「それを飯食って修復する。そうやって筋肉がつく。そうやって強くなる。食え、少しずつ、でも確実に―」

強くなれ―

そのエールとも、労いともとれる言葉に、みんなの目から再び涙が溢れた。涙と鼻水とでぐちゃぐちゃの顔で、それでもご飯を口一杯に掻き込んで。

縁下先輩と月島くんは泣いていなかった。

3年生は当然ながら号泣だった。

西谷先輩も、田中先輩も。

影山くんも、山口くんも、

翔ちゃんも。

貰い泣き、って言うのかなぁ。私の目からもポロポロ涙が零れた。

『うくっ…ふぇ…ぐ…っ』

みっともないけど、悔しかった。でも一番はあれだけ練習していたみんななんだ。

鼻を啜る音と嗚咽の中で、敗戦の味を噛み締めながら強くなるために夢中で箸を進めた。

『すみません、ちょっとお手洗いに…』

食べ終わる人がちらほら出てきた頃、私はトイレに向かった。トイレをしたかった訳じゃなくて、なんか一人になりたかった。ふと鏡を見てちょっとびっくりした。

そろそろ戻ろうかなぁ、と思ってトイレをでた。

『…あっ…』

「あ…」

月島くんと鉢合わせした。

何で今!?


      
/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp