第4章 インターハイ予選。
気づけばローテは一周していて、徹さんのサーブ。ぼんやりとしかわからなかったけど、サーブを打つ前になんだか凄みのある笑顔だった気がする。
ここに来て最高のサーブをする徹さんには驚いたけど、大地さんが力の限り上げた。それは青城のチャンスボールになった。
ちょっとびっくりしたのが徹さんがトスを上げたのは、岩泉さんでも金田一くんでもなく、ライトの国見くんだったこと。
旭さんのブロックをすり抜けたボールを、影山くんがなんとかとるものの、またしても青城のチャンスボールに。そして続けざまにラストボールを託された国見くんが今度はチョンっとフェイント。
『っく、リードされた…』
得点が入ったので、青城のサーブが続く。強烈なサーブかと思いきや、まさかのフェイントで、前の方に飛ぶボール。大地さんが飛び込んで拾うけど、翔ちゃんは体勢的に打てない。そこを読んだ影山くんがボールを旭さんに繋いで、三枚のブロックを弾き飛ばす勢いのスパイク。
それでもリベロの渡さんが拾って、岩泉さんが打つ。田中先輩が、やっぱり体当たりで上げて、それを金田一くんが打つ。翔ちゃんのブロックをかわしたボールを落ちる寸前で西谷先輩が拾った。
しゅ、守護神降臨っ!
影山くんが高く上がったボールを走り込んで上げる。その先には勿論翔ちゃんがいて。
この位置
このタイミング
この高さで
ドンピシャ!
みんなの思いが込められたその一球は
ブロックに当たり
烏野のコートへと
真っ逆さまに
落ちた…
無情で無機質なホイッスルが鳴る。勝者と敗者を確定する、非情な音が。
セットカウント 青葉城西 2 -烏野 1
三回戦勝者 青葉城西