第4章 インターハイ予選。
隣で嶋田さんが息を飲むのが聞こえた。そういえば、インハイのちょっと前、山口くんがチラッと言っていた。烏野排球部OBの嶋田さんにジャンプフローターサーブを習っているって。
だからこの場面でピンチサーバーとして適用されたのかな。ジャンフロは普通のサーブよりもレシーブしにくいのが特徴だから。
まさかの奥の手に焦る青城。ピッとホイッスルが鳴って、山口くんがトスを上げる。
そして…
『あ…っ!』
山口くんの放ったサーブは、
ネットに当たって、
青城のコートに届くことは無かった。
そして再びメンバーチェンジ。ピンサーは失敗したり相手にサーブ権が移ると、ベンチに下げられてしまう。酷だけど仕方ないこと。
悔しそうに唇を噛む山口くんに誰もかける言葉が見つからない。そんな中、大地さんが肩を叩いて言った。
「次、決めろよ」
その言葉に山口くんはぐっと涙を堪え、でも強い意思を持った目で強く頷いた。
「ハイッ!」
でも、山口くんのお陰で全員の雰囲気が変わった。"次"を創るためにも負けられない。
『ガンバレ…』
私は口の中で小さく呟いた。