第4章 インターハイ予選。
タイムアウト終わって、試合も中盤。翔ちゃんが前衛に上がってきた。前に来ると殊更やる気になってる気がするのは私だけ?
いやいや、そんなことはない。
それはコートのみんなが痛感してるハズ。
「持って来おぉぉぉい!!」
真横に跳びながらボールを求める翔ちゃんには言葉を失った。誰よりも多く走って、誰よりも多く跳んで、一番スタミナを消費しているだろうに、まだ跳べるのか、と。
翔ちゃんのワイド移動攻撃、通称ブロードはブロックするのが難しい。ネットの向こうの岩泉さんも呆気にとられている。
流れを持っていかれることを危惧したのか、青城がタイムアウトをとった。
そしてタイムアウト明け。その対応力に烏野メンバーは動揺した。なんと、翔ちゃんのブロードのブロックを捨てたのだ。
でも、決してボールを諦めた訳ではない。ブロックを捨てた分をレシーブに専念するのだ。ブロックは跳べば跳ぶだけ疲れるし、止められないと解っていて跳ぶのは愚策だと言えよう。
『なっ…!ここで…』
その隙を突いての徹さんのツー。青城の対応には毎回舌を巻くものがある。流石、県内でも指折りの強豪校なだけはあるなぁ。
で、ここに来て翔ちゃんのサーブ。ガタガタ震えてるから、だいぶ緊張してるね…
ピーッとホイッスルが鳴って、烏野のメンバーチェンジ。そこにはなんと、山口くんが10番の札を持って、立っていた。