第4章 インターハイ予選。
最終セットともなると、お互いが手の内を晒している状態。そんな訳で、翔ちゃんの速攻も、旭さんのスパイクも、なかなか決まらない。ラリーが続くようになってきたのだ。
全体的な守備力としては、青城が圧倒的に上。でも、うちには守護神西谷先輩がいるから大丈夫!
そして、青城9-烏野8の局面。徹さんからの殺人サーブを大地さんがレシーブして、旭さんがアタック。それを拾ったのが徹さんだったのだ。
『よっし!』
こうなると、必然的に徹さんはトスを上げられなくなる。ちょっと前にあった、影山くんのときみたいな感じ。
だから、油断していたんだ。
徹さんの心配はないんだ…って。
それは見事に引っくり返された。トスをしたのはなんとリベロの渡さん。そして徹さんのバックアタック。開いた口が塞がらないとは正にこのことだ。
『もしかしたら、セッターだったのかも…』
そう思ったのは渡さんのトスが上手だったのもあるし、昨日観た青城の試合の録画も関係していた。そこでは同じ様に渡さんがトスをして徹さんが打っていた。
烏野1回目のタイムアウトは3点差をつけられたタイミング。最終セットでは1点1点の重みが違ってくるから気持ちをリセットするためだと思う。