第4章 インターハイ予選。
インハイ予選の二日目。何度も言うけど、三回戦は徹さん率いる青城。青城は県でもトップクラスの強豪校で、あの怪童こと"牛若"と張り合うくらい。それだけに、一筋縄ではいかない相手、要するに手強いのだ。
今日は嶋田さんも滝ノ上さんもお仕事を休んできてくれました。
『お二人とも、わざわざすみません』
ペコペコと頭を下げる私に、二人は朗らかに言った。
「いやいや、俺たちが来たかっただけだし」
「そーそー、烏野のOBだしな!」
さて、コートに目を遣ると、徹さんと大地さんが握手をするところ。わぁ、やっぱり目が笑ってない…クロのときもそうだった気が…
公式ウォーミングアップになり、両校の選手が各自ボールを手に取る。のだが…
『嶋田さん、あの…』
「ん?朱里ちゃん何かあった?」
『…青城、煩くないですか?』
眉間にシワを寄せ、口角をヒクヒクとひきつらせる私に嶋田さんは苦笑いした。
「仕方ないでしょ。大王様だしね」
「ああ、こればっかりはなぁ…」
煩い、というのは青城の応援だ。特に徹さん向けの黄色い声が耳に突き刺さる…
「きゃー、徹くーん!」
「こっち見た!」
きゃあきゃあと騒ぐ女子に私の沸点はふつふつ上昇して、とうとう爆発。ドッカーン!←
『もう、うっさい!あの人はアイドル!?』
私が一人でぷんすかキレてると、コートから徹さんの声が聞こえた。
「おーい、朱里ちゃーん、見てる?」
ふ・ざ・け・る・な・よ・っ・!