第4章 インターハイ予選。
現在、私たちは仙台市体育館から学校に戻り、部室にいる。1日目をどうにか乗り越えたテレビを付けていた。
『お、やってるやってる!』
番組は勿論、"おばんドゥースみやぎ"。ちなみに、地元民ならば知る人ぞ知るローカル放送だ。テレビではアナウンサーの人が今日のインハイの取材を行っていた。
月島くんを除いた全員がワクワク顔でテレビに見いる。翔ちゃんなんてソワソワウズウズちょっと喧しい。
パッと画面が切り替わり烏野の話題に。おおっ!と盛り上がるのも束の間、なぜか画面には徹さんのどアップが。
『あれ、徹さんだ、岩泉さんも』
「徹さんっ!?おま、知り合いかよ!」
『うん、今日知り合いになった』
「今日かよ!」
そうだ、徹さんは影山くんの中学時代の先輩なんだった。しかもおんなじポジションセッターだし。そりゃあライバル意識出るか。
「明日の三回戦の相手の烏野高校の印象を訊ねてみました」
アナウンサーの声に、映像が流れる。徹さんはニッコリと爽やかな笑みを浮かべてこう答えた。
「いいチームだと思いますよ。全力で当たって砕けてほしいですネ!」
ピシッ…
全員の眉間に亀裂が走った。あ、月島くん以外だよ。特に、影山くんの顔が怖い。一人くらい殺してきたような顔してる。
私はおもむろに翔ちゃんの肩を叩いた。不穏な空気を察知した翔ちゃんは、機械仕掛けのおもちゃみたいにカクカクと首を動かして振り向いた。
『明日…わかってるよ…ネ?』
有無を言わせない私の言葉に、翔ちゃんは蒼白い顔で何度も頷いた。そんなに首振ったら、もげちゃうよ~。
その後青城の試合の録画を観て対策を練ってから、帰宅。温かいお風呂に浸かりながら私は考えていた。
明日は三回戦、相手は青葉城西高校。
全国に行くためにも負けられない。
明日に備えて、今日は早く寝よっと。
ザバッとお湯から上がり、髪を乾かすのもそこそこに布団に潜り込む。昼間干しておいたから太陽の匂いに包まれる。慣れないことで疲れていた私は忍び寄る睡魔に勝てず、すぐに眠ってしまった。
その頃、雪ヶ丘の日向家にて。
(どうしよう…俺、今日寝れないかも…っ!)
翔ちゃんが極度の緊張からガクガク震えて眠れない夜を過ごしていることなど、私は露程も知らないのでした。