第4章 インターハイ予選。
『うわぁ…』
今は公式ウォーミングアップの真っ最中な訳だが…思っていた以上に伊達工色が強い。応援団の声も大きい上に、多くのギャラリーがいる。伊達工の横断幕には"伊達の鉄壁"の文字。190㎝級のブロックはその名に恥じない鉄壁として名高いのだ。
「ゴーゴーレッツゴーレッツゴー伊達工!」
リズミカルな声援が伊達工に送られる。
『これは…メンタルが危ういかも』
2,3年生は3月の県民大会での敗北が頭を過っているだろう。伊達工の雰囲気に飲み込まれそうな中、西谷先輩が摩訶不思議な動きでボールをレシーブした。
「ローリングサンダァァッアゲインッ!!」
ぐるりんと回転しつつのレシーブ。一瞬の間を置いて、烏野勢からどっと笑いが起こった。回る必要ないだとか、前回からあんまり変わってないといった指摘を、メンバーから受けるものの、西谷先輩は自信を持って宣言した。
「背中は俺が護ってやるぜ」
その瞬間、翔ちゃんがズギューン!と何かに撃ち抜かれた、ような気がした。
『これぞ守護神…っ!』
西谷先輩がみんなを鼓舞してくれ、いつもの調子が出てきたようで一安心。カッコいいなぁと思いつつ、私は西谷先輩の後ろ姿を見つめた。みんなが思いきったプレーが出来るよう後ろを護ってあげて、と願いを込めて…
試合開始を告げるホイッスルが今、鳴った。