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烏と猫と梟と。《ハイキュー!!》

第4章 インターハイ予選。



前から近づいて来る伊達工の三人の内の一人は眉毛がない。本能で怖いと思って翔ちゃんの後ろに隠れた。私より小さいんだけどね←

「………」

『えっ…!』

その眉毛なしさん(青根さんというらしい)がいきなり、何の前置きも無しに旭さんをビシッと指差した。ただでさえ大きくて迫力あるのに、無言だと尚更…

お互い無言で相対する旭さんと青根さん。一触即発の雰囲気の中、ヘラっとした声が聞こえた。

「いや~すいませんね、こいつ敵のエースのことを"ロックオン"する癖があって…」

全然すいませんと思ってなさそうな声の持ち主は一癖も二癖もありそうな茶髪の人だった。この人もまた、背が高い。

「ほら二口!すいません、うちのが…」

あ、今度はすまなそうだ。二口、と呼ばれたチャラそうな人に茂庭さんと呼ばれる人が大地さんたちに謝っていた。

三人が通り過ぎると翔ちゃんがふへぇ~と変な声を出した。緊張しすぎでしょ。って、人の後ろに隠れてた私が言えないか。

『スガさん、今のって…』

「ああ。伊達工だ」

やっぱり。三月の県民大会で旭さんのスパイクを徹底的に止めたというあの"鉄壁"。さっきの三人はその鉄壁を作る人たちだろう。インハイともなると強者揃いなんだなぁと改めて感じた。

烏野メンバーは着替えを終え、そろそろ試合前の公式ウォーミングアップの時間。ルール上マネージャーは各校一人しかベンチには入れないので、私は観客席での応援になる。

『潔子さん、お願いします。翔ちゃん、しっかりね。みんな、が、頑張って…ね?』

応援って改めて言うと何か緊張するなぁ…

みんなの顔色を窺うと、そこにはいつもと変わらない笑顔があった。おう!と答えてコート内に向かった。

後ろ姿を見送りながら思った。

みんななら勝てる。

信じてるよ。

早足で観客席に向かった私の耳にホイッスルが鳴る。烏野高校対常波高校の試合が今、始まった。


         
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