第4章 インターハイ予選。
到着したときには仙台市体育館は既に多くの人が集まっていた。選手は勿論、ギャラリーらしき人も多くいるようだ。当然、あの選手はスゴいとか、噂話も耳に入ってくるわけでして…
『なんか、影山くんと西谷先輩って有名人なんですね』
「別に…」
「だろ!俺ってばスゴい!」
影山くんは中学時代に北川第一中学の天才セッターとして活躍していたからか、各校の選手も噂している。西谷先輩も千鳥山中学のリベロとしてベストリベロ賞を取っているから、本当にスゴい。
月島くんがぼそりと言った言葉に影山くんが過剰な程に反応しているから、さしずめ"王様"がどーのってことだろうな。
キョロキョロしながら歩いていると、何やら不穏な噂が聞こえてきた。
「おい、見ろよ…烏野の"アズマネ"だぞ!」
「うっわ…実は社会人だっていうあの?」
旭さんを指差してひそひそと話す人がやけに目につく。背も高いしあのアタックは一度見たら相当忘れられないとは思うけど…
『あのぅ、一応、一応ですよ、訊きますけど…旭さんって高校3年生ですよね?』
「朱里ちゃんまでっ!?」
「ダイジョブダイジョブ!朱里ちゃん気にすんなよ~」
ショックを受ける旭さんをドンマイ、と大智さんが慰める。スガさんは気にするなと言ってくれたけど、何か悪いことしたみたい。
今更だけど、旭さんってメンタル弱いなぁ…
そんなことを思っていると、正面から背の高い三人が歩いてきた。その瞬間、2,3年生の雰囲気がピリッとしたのが分かった。
私は直感で思った。
この人たちが"伊達工"だ、と。